ミャンマー、LNG発電所急ぐ

27
Sep
2018

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電力不足解消へ窮余の策
日本経済新聞 朝刊

日本経済新聞9月21日朝刊に「ミャンマー、LNG発電所急ぐ –電力不足解消へ窮余の策」のタイトルでミャンマー電力事情の紹介記事が掲載されました。VDB-Loi エドウィンのコメントが紹介されました。

停電が日常茶飯事で、工場は自家発電機なしでは成り立たない――。そんなミャンマーの電力事情に希望の明かりがともっている。何事も政策決定に時間がかかるミャンマー政府だが、電力分野ではスピードを速めているからだ。

政府は1月、液化天然ガス(LNG)を燃料とする火力発電所を建設する3つの事業計画にゴーサインを出した。このうち規模が大きいのは2カ所。南部のタイ国境近くでは仏トタルと独シーメンスが出力123万キロワット、中部デルタ地帯では中国の浙富控股集団が現地企業と合弁で139万キロワットの発電所を建設する。投資額はそれぞれ約25億ドル(約2800億円)。2カ所だけで現在の国全体の発電能力の46%に相当する。

こうした動きを主導するのがウィン・カイン電力・エネルギー相だ。ミャンマーは天然ガス産出国だが、中国やタイへの輸出契約に縛られ、国内向けは今後不足する。初めてとなるLNG輸入には賛否があるが、「LNGを輸入しなければ電力不足になる」と押し切った。

「2018年はミャンマー政府が革新的な手法を導入した年として記憶されるだろう」。今回の事業に関わるヤンゴン拠点の弁護士事務所、VDB・Loiのエドウィン・ベンダーブルゲン代表は前向きに評価する。

ウィン・カイン氏は今回、政府内の合意形成に時間がかかる覚書締結の手続きを飛ばし、省庁による通知で事業者を選定。電力買い上げ条件などは事後に話し合う。新手法は水力発電所のプロジェクトにも適用され、8~9月には関西電力や丸紅が参加する2カ所の水力発電所にも通知が出た。批判はあるものの、事業を早く進めるには有効だ。

都市化の進展や農村の電力網整備に伴い、ミャンマーの電力需要は25年に現在の2倍の800万キロワットに達する見込み。水力発電所などは稼働が安定しないため、発電容量では追加で700万~1000万キロワット必要になる。

ただ、電力価格の交渉が順調に進むかは不透明だ。現在の電力料金は発電コストを下回り、補助金で支える「逆ざや」の状態。英大学系の政策支援機関インターナショナル・グロース・センターによると、コスト超過は15年以降に急増した。

政府は事業者に払う費用の値切りに懸命だ。コストが見合わなければ交渉決裂の恐れもある。消費者向けの電力料金引き上げが不可欠だという認識は政府にもあるが、20年に総選挙を控え、様子見をきめこむ。

環境への負荷が大きい石炭火力発電の扱いなど将来のエネルギー計画には曖昧さが残る。複数の業界関係者は「LNG火力の3案件が全て実現するとは考えにくいが、1カ所でも前進してくれれば」。逆に実現しなければ、ミャンマーの電力不足は深刻になる。

(ヤンゴン=新田裕一)

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